Posted By きっちょむ
Created at 2019/08/04 01:17:00
Updated at 2019/08/04 07:54:21
このレビューはAntec Japan様より製品をご提供いただいた、提供レビューです。
Reviqaの体験企画より、「Antec P101 Silent」を体験レビューとしてご提供頂きました。
今回のレビューでは、外観や仕様、組み込みし易さなど全般的な内容と共に、
Antecの名機であるDF-85と冷却性能や静穏性など比較を行い、Antec P101 Silentの徹底検証を行いたいと思います。
ちなみに、僕はP180時代からのアンテッカーで、
P180 * 3台、NSK3480 * 2台、Solo Black * 1台、Sonata PROTO * 1台、ISK300-65 * 1台、DF-85 * 1台 …合計9台
組んでおり、内、P180 * 2台(13年間)と、DF-85 * 1台(7年間)は今も稼働しています。
本機は、所有Antec PCケースとして記念すべき10台目ということで、優しめにレビューを……、なんて事は勿論しません。
根っからのアンテッカーだからこそ、「さすがはAntec!」と言いたいからこそ、厳しく検証していきたいと思います。
Antec P101 Silentは、いまどき流行りの「光り物」から真逆を行く「無骨・精悍・合理」を感じる幾何学的なデザインになっており、
シンプルであるものの存在感は失われておらず、素直にセンスの良さを感じるPCケースだと思います。
対抗馬の一つであるFlactal Designに比べるとデザインに洗練さは欠けるもの、この無骨さを好まれる方も多いのではないでしょうか。
ケースのフロントドアを開けると、5.25インチベイと3連ファン、そして埃から保護するフィルターがあります。
遮音パネルが、フロントドア内部を始め、両サイドパネル、ケーストップに貼られており、静穏性に一役買っていそうです。
PCケースとしての吸気は前の3連ファン、排気は後ろのファン1つと底部の開口部(一部分)、サイドパネルやケーストップい開口部がないので、所謂、陽圧系サイドフローケースに該当します。(電源側にも開口がありますがカバーで遮蔽されているので除外しています。)
※ 陽圧ケースは陰圧ケースに比べて冷却性に落ちるものの、静穏性が高く埃の侵入が少ないのが特徴です。
ちなみにいままでの経験上、ハイエンド構成以外は、サイドフローだけでも風の流れがしっかり作れるのであれば、上部&側面開口は不要で、むしろ、開口が無駄に多ければ埃を呼び込んだり、騒音の原因となるので、大多数の方が満足されるであろうこの仕様は歓迎すべきものだと感じます。
また昔からAntecのPCケースはユーザーに優しく、ファンを後から購入しなくていいように全て最初から搭載されていたり、仕様には明確な指向性があって、それに沿ってパーツを選び組み立てれば快適なパソコンが簡単に組みあがるようになっていたりします。
他社ケースだと指向性のある設計がされているものは多くなく、パッと見、同じようでも、変に組み上げづらかったり、配線が汚くなってしまったり、最悪は冷却性や静穏性も十分ではないというパソコンが出来上がってしまいます。
Antecは、他社のようにユーザーにすべて放り投げるのではなく、設計である程度の制限を設ける事で指向性を作り、それによってユーザーが快適な自作パソコン生活を送れるようにしてくれている稀有なメーカーだと僕は思います。
話を戻します。
PCケース内部で特徴的なのは、カバーによって分けられた電源区画と、3.5/2.5inchのストレージを8台搭載できるシャドウベイでしょうか。
電源をカバーで仕切っているのは、静穏性というよりケース内の熱を電源に吸わせない為でしょう。熱は電源寿命に影響しますから。
ただし、電源の吸気側にPCケースのフィルターがある為、定期的にフィルターを掃除してあげないとファンに負担が掛かりそうなので注意が必要です。
3.5/2.5inchシャドウベイは樹脂で出来ており、ツールレスで取り出し可能になっています。樹脂自体がそこそこ撓むのでHDDの振動を吸収しそうです。
以前のシリコングロメットによる防振構造のほうが効果が高いと思うのですが、最近のHDDは振動も少ないですし、これくらいで丁度いいのかもしれません。
いまどき10,000rpmを超えるHDDを使う人も少ないでしょうし。(昔、32GBのラプター使ってたなぁ…) 笑
また、3.5/2.5inchシャドウベイ、5.25inchシャドウベイともに取り外し可能で、ハイエンドGPUやPCパーツ構成に合わせて、ケースを最適な構成に変化することができます。ただ、前述のようにサイドパネルとケーストップに開口部がないので、空冷構成の場合は排熱に配慮が必要です。
デザイン的には、白と黒の2トーンでなかなかオシャレです。
と言っても、このモデルはサイドパネルが透明では無いので、なかなか見る機会はないかもしれません。
でも、自己満足って重要ですよね。笑
ケース内部背面は、大きいCPUカットアウトと、2.5inchストレージシャドウベイがあります。
2.5inchストレージシャドウベイが代理店公式ページと仕様が違いますが、恐らく改善版だと思われます。
こちらのほうが取り外しが簡単そうですし。
裏配線しやすいように、多数カットアウトされていたり、インシュロックでケーブル類を固定しやすいように小さい穴の開いた凸部加工がされていたりと、とことんユーザーフレンドリーです。この凸部の加工、結構技術とコスト要りそうですよね。
ケースのフロントポートは、使い易いようにケーストップに纏められており、
・電源&リセットボタン
・ファンコントローラー
・オーディオ インプット/アウト
・USB 2.0 * 2
・USB 3.0 * 2
と過不足無い印象です。
あえて苦言を言うのであれば、ケーストップにポートを纏めてしまうと埃が溜まりやすいので、使わないときはポートを保護できるカバーがあれば良かったかもしれません。
ちなみに、USBポートの外周の白色の部分、光ります。唯一の光物です。笑
僕はこれくらいの光り物で十分です。てか、普通にオシャレ。今後こういうのがトレンドになって欲しいなぁ…。
細かい所は公式ページの仕様を見てください。
すみません、こっちでも分かり易く載せたいんですがReviqaの仕様上、写真アップロードが10枚までなので、
このレビューを読んで頂いている方は、そういうのをある程度、読み込まれていると判断して要点だけ纏めて伝えます。
(水冷関係は知識が無いので除外します。)
ケース外形寸法:W232 * D527 * H605mm
ケース重量:11.8kg
拡張カード搭載最大寸法:450mm
CPUクーラー搭載最大高さ:180mm
5.25inchシャドウベイ:1台まで
3.5/2.5inchシャドウベイ:8台まで
2.5inchシャドウベイ:2台まで
かなり拡張性の高いケースですが、3.5/2.5inchシャドウベイの造りが華奢な感じがするので、HDDを搭載しても5400rpm程度の低回転モデルを必要最低限に留めるべきかな?と思います。あと、使わないシャドウベイはエアフローを考えても取り外すべきだと思います。シャドウベイに空いているエアフロー用の開口部が狭いので。
今回、このPCケースで組んだパソコンのパーツ構成は、以下になります。
【CPU】 AMD Ryzen 1700
【CPU cooler】 サイズ 虎徹 MarkII SCKTT-2000
【MB】 ASUS PRIME X370-PRO
【RAM】 CMK16GX4M2B3000C15
【SSD】 SAMSUNG SSD 830 512GB RAID0・・・合計1TB
【GPU】 MSI GeForce GTX1060 GAMING X 6G
【CASE】Antec P101 Silent
【PSU】 Antec HCP-850
数年前にIntel Corei7 3570KからRyzenに組み替えたので、ちょいちょい古いパーツが混じってますが、
当時、まだまだ高価だった512GB SSDを2台使って1TB RAID 0構成にして、HDDレスを実現してたり、
評判の良かったハイエンドゴールド電源のAntec HCP-850など、割とまだまだ悪くない構成だと勝手に思ってます。笑
組み上げに辺り、PC構成としてHDDレスなので不要な3.5/2.5inchシャドウベイは完全に取り外しました。
ひと手間ですが、エアフローや静穏性に影響を及ぼすと思われます。
実際に組み上げた感想として、かなり組みやすいPCケースだと思いました。
カットアウトの大きさ、位置など、全部が丁度良い。
カットアウトが大きすぎてケーブルが変に長さが余って垂れ込んだり、逆にケーブルの長さ足りないって事も無いし、
電源の上下位置を間違えないように、固定する位置が制限されていたり、かなり綿密に設計されている事が伺いしれます。
この組み上げのし易さは、ケースメーカー随一だと思います。
個人的に、ケース内部の構造で改善要望を出すのであれば、
・5.25inchシャドウベイの奥行きがあり過ぎて、CDDの入力端子部がシャドウベイに隠れてしまいケーブル接続が大変だった。
・今どきのケースであればしょうがないし、振動体が減ったので無意味かもしれないがフレーム板厚t=0.8mmは心もとない。(P180とかt=1mm以上あった。腰を抜かすくらい重かったけど。笑)
・3.5/2.5inchシャドウベイに実用性を持たせるために、もう少し高剛性に。あと、シャドウベイが詰め込み過ぎていてエアフロー的に辛いので搭載可能台数を減らしてもいいのではないか?
くらいでしょうか。総じて良くできた構造だと思います。
このPCケースは開口部が少ないけど実際どれくらい冷えるの?実はアッチッチじゃないの?
一番気になるところだと思います。
今回の冷却性能テストでは、OCCTによるベンチマークテストを行うことによりCPU&GPUの温度上昇を計測しました。
比較対象として、7年前に購入したオーバークロック対応のゲーミングPCケース「Antec DF-85」を使うことにしました。
当時としては、一世を風靡した倒立ケースよりも冷却性能が高かった化け物ケースです。
流石にこのケースのファンを最大回転数に設定して比較をしてしまうと、爆音で常用に堪えないし、7年前の旧型といっても未だに空冷能力であれば並ぶものがない名機。静音ケースが冷却性能で叶うわけがありませんので、「静穏性が実用レベルである"低"設定」という条件付けで比較を行いました。
その他条件:
・室温25℃(エアコンで調温)
・一両日で両PCケースのテストを実施(外気温の影響を抑えるため)
・OCCTテスト時間 20分 (Iddle 2分)
結論から言います。
P101 Silent すげえじゃん!
ファンの回転数が低い状態では、流石にCPU&GPUともにDF-85に負けていますが、設定を上げるとDF-85とほぼ同等にまで冷却性能が上がっています。
(後述しますが回転数を上げてもDF-85の低回転よりも静かですし、十分実用レベルです。)
高回転設定であればDF-85と性能が同等という事は、静音ケースでありながらRyzen 1700を3.9GHzまでオーバークロックしても冷却しきれる性能があるということです。(過去にDF-85でテスト済み)
DF-85って、フロント/サイド/ケーストップ/背面にファンを付けまくってるんですよ??(写真枚数制限で上げられないのが悲しい。笑)恐らく、3.5/2.5inchシャドウベイを完全に取り外したので、エアフローがDF-85より良いからだと思いますが、なかなかの驚愕の事実です。
最後に静穏性についてテストした結果を書きたいと思います。
遮音パネルを貼ってるから静穏なんだろうね?でも、実際はどれくらいなんだろう??
と思う方が多いと思いますので、体感的な感想とは別に、騒音計(アプリ)で発生する音を測定しました。
その他条件:
・測定中はエアコンなどの音が発生するものは全停止。
・グラフ上の数値は平均値。
・外音影響が大きいので、同一時間帯に纏めて実施することにする。
此方も結論から言います。
P101 低回転設定:ケースファンが無音過ぎてCPUファンの音が聞こえるレベル!!!
P101 高回転設定:少し音が大きくなるが耳障りじゃない領域の高音。十分、実用レベル。
DF-85 低回転設定:低回転設定ながら、正直まあまあ五月蠅い。ファンの音というかシャドウベイの風切り音かもしれない…。
たぶん、超静穏だったP180より静かなんじゃないかな??てか、ほぼ無音ですし…。笑
ほんっとに静か過ぎて乾いた笑いが出ました。
このとんでもない静穏性は、シャドウベイを取り外すことにより、風切り音が無くなった効果だと思います。
ですので、ストレージを多く積む予定の方は、この結果にはならない可能性がある事を留意しておいてください。
いやぁ、7年ぶりにPCケースを変えたわけですが、ほんとビックリしました。
オシャレで拡張性が高く、かつ、静穏性がめっちゃ高いのに、冷却性能も十分にある。
なんですか?この物理原則を無視したようPCケースは??
正直、竜宮城から地上に戻った浦島太郎のような気分を味わっています。笑
根っからのアンテッカーとして、厳しく検証して、板厚が薄いとか、ダメだしを一杯してやろうと思っていたのに、デザイン、設計レベル、冷却&静穏性能と、気付いたら全方位殆ど褒めまくってる事実…っっ!!!
さすがはAntec!!
と、言わせて頂くしかありません。(なんか悔しいけどAntecファンとしては嬉しい。笑)
これからもまだまだアンテッカーである事を辞められそうにありません。
所有するAntec PCケースの記念すべき10台目である本機も、また大事にしていきたいと思います。