( ゚∀゚)o彡°ASRock!ASRock!
本製品は、2010年にAsrock社から発売されたマザーボードになります。
当時としては最先端のAMD PhenomII X6に対応し、かつ最新機能( SATA3.0 , eSATA3.0 , USB3.0 )全部入りで、
メンテナンス時に便利な「電源&クリアスイッチ」、不具合発生時にも直ぐに問題の切り分けのできる「Dr.Debug」とCMOSクリアスイッチ
が搭載されるなど、あれば"便利"という機能を全部詰め込んだ欲張りモデルです。
それでいて安価ということで特徴だけをみると"死角ナシ"状態ですが、機能だけでは性能を推し量れないのがマザーボードです。
今回のレビューではどんなマザーボードかについての説明と、CPUとノースブリッジの低電圧化をしてみて、
マザーボードの安定性について検証していきたいと思います。
【ファームファクタ】ATX
【対応CPU】AMD PhenomII X6~X2 / AthlonII X4~X2 / Sempron
【ソケット形状】AM3
【チップセット】AMD 880G / SB850
【メモリ】 4 (DDR3 1800(OC)/1600(OC)/1333/1066/800 Dual Channel)
【メモリ最大】16GB
【オンボードVGA】D-Sub/DVI-D/HDMI
【拡張スロット】
PCI Express 2.0 x16スロット・・・3スロット
PCI Express 2.0 x1スロット ・・・1スロット
PCIスロット ・・・3スロット
(本製品はATI Quad CrossFireX~CrossFireX、Hybrid CrossFireXに対応しています。)
【IDE/SATA/RAID】
SATA3 6.0 Gb/s・・・6ポート
(RAID 0, RAID 1, RAID 0+1およびRAID 5に対応しています。)
eSATA3 6.0 Gb/s・・・1ポート
【LAN】
Realtek 8111E Gigabit LAN (Wake-On-LAN対応)
【オーディオ】
7.1chサラウンドに対応(VIA VT2020 Audio Codec)
【IEEE 1394】
IEEE 1394 ・・・2ポート(バックパネル*1ポート)
【USB】
USB3.0 ・・・2ポート(バックパネルに搭載。5Gb/sまで対応)
USB2.0 ・・・4ポート(最大8ポート)
【その他】
8+2 phase電源回路
CMOSクリアスイッチ ・・・バックパネルに搭載
電源スイッチ ・・・基板上に配置
リセットスイッチ ・・・基板上に配置
Dr. Debug ・・・基板上に配置
やはりこのマザーボードの最大の特徴は、
通常、INTEL製チップセットを搭載したマザーボードであれば、
PCI-E,SATA3.0,eSATA3.0, SB3.0のうち1つしか全速動作させることができない排他仕様ですが、
新チップセット(AMD 880G / SB850)を搭載させることによって
全ての回路を全速動作させれるということでしょうか。
INTEL社の最新CPU「Sandybrige」に対応するマザーボードでも、
ネイティブにSATA3に対応するのは僅か"2ソケット"のみ。
INTELとAMDの姿勢の違いが現れていますね。
そういった意味で、AMD系チップセット(AMD 880G / SB850)を搭載させた本製品は、
将来に向けての拡張性が非常に高い製品だといえると思います。
ただ、本製品で一つ気をつけて頂きたいのが、
ノースブリッジ"AMD 880G"のことです。
拡張スロットの仕様では、
ATI Quad CrossFireX~CrossFireX、Hybrid CrossFireXに対応しているという旨の記載がありますが、
AMD 880Gには全てのグラフィックボードを全速で動かすほどのレーンが搭載されておらず(22レーン)、
・ グラフィックボード1枚・・・×16動作
・ グラフィックボード2枚・・・×8 + ×8動作
・ グラフィックボード3枚・・・×8 + ×8 + ×4動作
とレーン幅に制限が掛けられてしまいグラフィックボードを3枚目以上搭載したところで、
望むべき動作は得られません。
つまり、本製品を使う上では事実上"CrossFireX"までという事になります。
この辺りを加味してマザーボードレイアウトを考察した場合、
PCI-E 2.0の3スロット目の配置が"無駄"なものに見えてきます。
上位機種"890GX Extreme3"と同じレイアウトで一見豪華な印象を受けますが、
実際の所、①番のPCI-E×1形状スロットの横にノースブリッジのヒートシンクがあり、
カードが長いものが実質的に刺ささらないという状況になってしまっています。
"3-Way CrossFireX"が事実上不可能であることを考えても、
この配置には疑問が残りますが、元々880GではCrossFireXをサポートしていませんし、
Asrock独自にCrossFireXさせる際にチップ絡みで×4の"3-Way CrossFireX"が付いてきたというのが、
本当のところだと思います。
メーカー的にも例え形式的だとしても"3-Way CrossFireX"に対応と謳ったほうが売れると考えるでしょうし。(苦笑
その他のレイアウトは特に問題のない感じなので、筆に残すことはないですが、
長大なVGAカードを刺したせいでSATAソケットと干渉してケーブルが刺さらないなんて事態を回避する横向きのSATAソケットを搭載していたり、
基板上に配置されているPOSTコード表示板や、
電源&リセットスイッチを搭載していたり、
やはり全体的に見てこの値段にしては"豪華絢爛"という言葉がしっくりきます。
個人的には「POSTコード表示板」が付いているだけで、
購入対象として非常にそそられます。
OCなど不安定になったときやOSが立ち上がらないときに、
この表示板に問題が示されている場合があります。
いままで検証に1時間超掛かっていたのが10分もしないうちに問題の切り分けができる。。。
これがあるだけで自作PCのメンテナンスが非常に楽になること請け合いです^^
・ マザーボード本体
・ クイックインストレーションガイド
・ サポートCD
・ eSATAブラケット
・ SATAケーブル×4本
・ IOパネルシールド
マザーボード本体の"豪華絢爛"さから一転、
付属品は他社の上位モデルと押し並べて少なめです。
まあ、このあたりはコストを思いっきり削るところなので、
しょうがないかな?とは思います。
ただ、一つ気になるのがSATAケーブルがSATA3に対応しているかどうか不明な点です。
インストレーションガイドに何も書いていないの気になります。
まあ、SATA2ケーブルでもSATA3の転送速度を出せるらしいですし、
そこまで気にする点ではないとは思うんですが、ちょっと書いて欲しかったなぁ。
① [Intelligent Energy Saver](以後、IES)
Windows上で動く省電力化ツールです。
CPUがアイドル状態など低負荷時に余分な電力供給フェーズをカットすることで、
エネルギー効率を向上させることができます。
[Intelligent Energy Saver]の効果については、後述の"消費電力"項をご覧下さい。
まあ、他社にもよく似た機能がありますよね。
② [Instant Boot]
Windowsを「4秒で起動」させることができる機能です。
それだけを聞けば"なんて凄いことなんだっ!"なんて驚く方もいるかもしれませんが、
実のところ、 OS がユーザーによってシャットダウンされた後に
自動的に再起動、起動し終えたところですぐにサスペンド(S3またはS4)に移行させるだけのことのようです。
Windows Vistaから搭載されたハイパースリープとの相違点としては、
スリープ時に溜まるキャッシュデータが無いので、
よりパソコンを健全な状態に維持できるようです。
頻繁にパソコンの電源を入れたり消したりする環境では意味は無いでしょうが、
パソコンを切ってから長時間離れるという場合なら有効な技術かもしれませんね。
③ [ASRock OC Tuner]
オーバークロックツールです。
調整項目としては、
1. オーバークロック:CPU/PCIクロックに対しオーバークロックをおこなう項目
2. Voltage Control:CPU、DRAM、VTT、NB、SBの電圧を調整する項目
3. Hardware Monitor :システムの主な情報を表示する項目
4. System Health:CPUとマザーボードの温度を検査し、CPU静音ファンを調整する項目
がありますが、
ぶっちゃけAMD純正ツール「AMD OverDrive」のほうが詳細で使いやすいと思います。
また母体ASUSのオーバークロックツールには、
もっと簡単かつ高精度でオーバークロックができるものが出ていますし、
無いよりマシ程度と考えていたほうがいいでしょう。
④ [OC DNA]
友人とオーバークロック設定をシェアできるプログラムのようです。
ですが、そんなことをするヘヴィユーザーが
わざわざAsrockでオーバークロックをするとは思えず、
"使う人なんているの?"状態のツールです。
BIOSの説明などについては
個人的に気になった所だけ説明させて頂きたいと思います。
① [Enhanced Halt State]
低消費電力機能のことです。AMD版のC1Eですね。
今回の検証機では6コアCPU PhenomII X6 1055Tを使っていたのですが、
対応しているはずの[Enhanced Halt State]項目がDisableになっていました。
不安定になるという話しもあり、Enable=有効にするには熟慮が必要です。
有効後の低消費電力効果については、後述の"消費電力"項をご覧下さい。
② [CPU Fan Setting]
CPUファンの回転数を制御できる項目のようです。
Full ONモードとAutomatic modeがあり、
Automatic modeでは、9段階までファンの回転数を制御できるようです。
CPUクーラーのファンには1300rpmのものが使われており、
9段階それぞれの回転数を調べたところ、
Full ON mode:
【Full ON】1300rpm
Automatic mode:
Target CPU Temperature 【50℃】
Target Fan Speed
【Lebel 9】1300rpm
【Lebel 8】1100rpm
【Lebel 7】1000rpm
【Lebel 6】 900rpm
【Lebel 5】 800rpm
【Lebel 4】 700rpm
【Lebel 3】 500rpm
【Lebel 2】 300rpm
【Lebel 1】 200rpm
かなり細かいところまで回転数制御をできることがわかりました。
ちなみに"Target CPU Temperature 【50℃】"という項目は、
最初はLevel Xの回転数で制御していても、CPU温度が50℃を超えた際に、
回転数を徐々に上げて最大回転数まで持っていくためのトリガーのようです。
他にもファン3つまでは9段階で回転数制御できる項目があり、
ファンセッティングの項目は他社と比べてもかなり優れているといえると思います。
本マザーボードには、消費電力削減のための各種ソフトウェアがありますので、
どの程度効果があるか調べてみました。
Cool'n'Quiet:有効、AMD C1E:無効、IES:無効
PC Iddle:71W
PC Load:196W
Cool'n'Quiet:有効、AMD C1E:有効、IES:無効
PC Iddle:71W
PC Load:190W
Cool'n'Quiet:有効、AMD C1E:有効、IES:有効
PC Iddle:69W
PC Load:182W
アイドル状態では各環境誤差レベルの消費電力でしかありませんが、
ロード時には消費電力削減効果が顕著に表れました。
このレベルで削減できるなら十分ではないでしょうか。
今回使用した検証機のCPUには125W版のPhenomII X6 1055Tが搭載されており、
定格電圧が非常に高いので、どこまで電圧を下げられるか検証してみました。
環境条件として、
Cool'n'Quiet:有効、AMD C1E:有効、IES:有効
となっています。
1.15V
■ CPU/NB(V) : 1.150V
VCore(V) : 1.3750V : 1.3000V : 1.2750V : 1.2500V : 1.2375V : 1.2250V
Iddle(W) : 69W : 72W : 71W: 71 W: 68W : 68W
Load(W) : 182W : 165W : 158W: 156W: 152W: 149W
Core Min(℃) : 28℃ : 27℃ : 27℃: 27℃: 27℃: 26℃
Core Max(℃) : 49℃ : 44℃: 41℃ : 39℃: 39℃ : 39℃
NB Min(℃) : 39.6℃ : 39.1℃ : 38.5℃: 38.0℃: 38.0℃: 38.0℃
NB Max(℃) : 45.6℃ : 43.5℃ : 42.1℃: 41.6℃: 41.9℃: 41.3℃
1.10V
■ CPU/NB(V ) : 1.100V
VCore(V) : 1.3750V : 1.3000V : 1.2750 : 1.2500 : 1.2375V : 1.2250V
Iddle(W) : 72W: 72W : 71W : 71W : 68W : 68W
Load(W) : 187W : 168W: 158W: 157W: 154W: 159W
Core Min(℃): 26℃ : 27℃: 27℃: 27℃: 26℃: 27℃
Core Max(℃): 49℃: 45℃: 41℃: 40℃: 38℃: 39℃
NB Min(℃) : 38.3℃: 39.1℃: 38.5℃: 38.0℃ : 38.1℃ : 38.0℃
NB Max(℃) : 44.8℃: 43.3℃: 42.1℃: 41.6℃ : 41.9℃ : 42.1℃
結果的に言えば、
常用限界は0.15V落ちの1.2250Vということになりました。
最大33Wの削減になったことを考えれば十分低電圧化できているといえるのではないかな?と思います。
ただ、Asrock製のマザーボードは消費電力が高めに出ていることが多い気がします。
ASUSと同じで若干多めに電圧を廻してパソコンが安定稼働するようにしているのかもしれません。
初めてAsrockのマザーボードを購入したのですが、購入前は不安定だったり不具合があるんじゃないかということで地味に怯えていました。
しかし、使ってみてビックリ、非常に安定しているマザーボードでした。
今回の検証ではオーバークロックのデータを載せていませんが、
2.8GHz→3.36GHzまでの常用OCは達成しています。
ただ、3.6GHz超のOCはかなり不安定でまともにOCCTを完走出来なかったところをみると、
コストパフォーマンスの裏返しかOC性能については、ASUSやGIGABYTEには劣る点が多いようです。
ただ、
・ オーバークロックをしない定格派
・ ライトオーバークロック派
などの層においては、無駄なコストが掛かって無く非常にコストパフォーマンスの良い製品だと思います。
SATA3.0 , eSATA3.0 , USB3.0があって各種機能が一通り入って、
この値段、この安定性、、、
ライトユーザーには文句なしの鉄板マザーボードでしょう。