Posted By ちゅろめ

Created at 2019/01/06 18:59:58
Updated at 2019/03/19 18:57:57

扱いやすいzen+の6コアcpu

軽い用途にしか使用しないのでCPU性能に困ったことはなかったのですがZen+のCPUが触ってみたかったのでツクモに駆け込みました。

インテルCPUの品薄のせいか以前よりも若干値上がりしており、ツクモ店頭での購入価格は24000円弱でした。

~製品仕様~

CPUコア数:6

スレッド数:12

基本クロック:3.4GHz

最大ブーストクロック:3.9GHz

TDP:65W

ソケット:AM4

後述しますが諸事情によりパッケージや同封物についての画像はありません。取説、クーラー、エンブレムシールのいつものセットなので特筆する必要はないかと…(爆)

クーラーはZenの省電力CPUにも用いられた「AMD Wraith Stealth Cooler」を採用、上位CPU付属のWraith Prismなどには劣りますがTDP65wのCPUには十分だと思います。

エンブレムはZenのデザインから変更され銀色の縁取りがつきました、箱のデザインは据え置きですがエンブレムを見れば世代の判別ができますね。

 

ZenとZen+の違いについて軽く解説したいと思います。

アーキテクチャ自体の進歩としては、

  • L1キャッシュのレイテンシを13%削減
  • L2キャッシュのレイテンシを34%削減
  • L3キャッシュのレイテンシを16%削減
  • メモリーアクセスのレイテンシを11%削減  (すべて最大値)

といった進歩があり、パイプラインの大幅な変更などがないにも関わらずレイテンシ削減のみでおおよそ3%ものIPC改善を果たしています。

これだけでもすごいのですがさらにプロセス自体の改良によりダイサイズなどの変更なしに最大周波数を引き上げ、にもかかわらず低消費電力化とZenの性能に磨きがかかった仕様になっています。

CPU自体の機能としてはZenで採用された「Precision Boost」と「XFR」(自動周波数管理機能)を改善したPrecision Boost2、XFR2を搭載しておりZenに比べてより高いレベルでブーストクロックを維持することが可能になりました。

ただどちらも先代から周波数の上限を変更しているので同じ周波数という条件が無ければZenよりも消費電力が増えてしまう場合があります。

これらを踏まえて大まかに進化した点をまとめると

  • シングルコア性能の向上
  • Zen比で同周波数での消費電力削減

この二つがあげられるのではないでしょうか。

さて軽くZen+について述べたところで今度は先代であるRyzen 5 1600と比べる形で2600を紹介したいと思います。

~検証機材~

※メモリは2400mhz16-16-16-39に固定、CPUは定格で各種ブースト機能有効化

いろいろしっちゃかめっちゃかやっても再現性が無いので手っ取り早くcinebenchR15で比較しました。

  • Ryzen 5 1600:1127cb
  • Ryzen 5 2600:1258cb

となっています。

マルチスコアしか計測していませんが単純計算でおおよそ12%前後性能が向上していることが伺えます。

全コア負荷時3.4ghzの1600に比べて2600は全コア負荷時平均3.7ghzで駆動している事が効果を発揮していると言えるでしょう。

この1258cbというスコアは同じメモリ周波数の1600@3.8ghzを上回るスコアとなっており、1600をOCする分の消費電力の増加を考えると省電力性の向上がうかがえる結果となりました。

 

メモリの互換性が向上したとのことなのでメモリOCも試してみましたが相変わらず3600mhzあたりから動作が苦しくなってくるようでタイミングや周波数が改善できるということはありませんでした。

ただ、AMDの定める動作の上限が改善していることに間違いはありませんので高速なメモリを用いて性能を向上させるハードルは幾分か下がったと言えます。

参考までにメモリを3600mhzまでOC、周波数を全コア4.0ghzにOCするとスコアが1380cbまで向上しました、消費電力を気にしなければZenの8コアであるRyzen 7 1700に迫る性能を秘めていることがわかりますね。

~総評~

周波数管理機能がかなり向上したので先代の1600と比べても性能差を考えるとさらに扱いやすくなった印象を受けました、自分でOC設定をしなくても周波数を高い水準で維持、それでいて変わらぬ65wのTDPとヘビーユーザーでなくても安心して使える性能を持っています。

さらにメモリ周りの改善なども行われているため、Zen登場時に騒がれた自作する上でのハードルはそれなりに解消されたのではないでしょうか。

本製品の欠点というべき点はさほど見つからないのですが強いて言うなら石自体の遊び要素が少ないところでしょうか(笑)

Zen+すべてにおいて言えますが定格の時点で限界に近いレベルまでチューニングがなされているので周波数関連の向上は今一つ、メモリの伸びは先代と同様なのでOCという面ではIntelに劣ります。

しかし裏を返せば素の状態でも高い性能を持っているということになり、Zen+CPUの完成度の高さがうかがえます。

この機会にぜひ扱いやすいRyzen 5 2600を使用して古いマシンのリプレースを行ってみてはいかがでしょうか。

 

蛇足…(読まなくても結構です)

さて、レビューとは全く関係ありませんが冒頭で後述すると書いた今回のレビューが適当な原因を懺悔したいと思います…。

まずこの製品を買った理由なのですがZen+を使いたいということ以外にも使用していた1600がマレーシア産のハズレ石だったという部分が大きいです。

Zen、Zen+両方に言えることですが消費電力自体は変わらないものの中国産に比べてマレーシア産のほうが電圧が高く、結果的にOCに不利なのです。(個体差はあります。)

OC時に中国産より0.05v近く高い電圧を要求する1600から乗り換えてやろうとツクモに乗り込みカウンターに駆け込みました。

会計を進めるうち、私は大きなミスを犯していることに気が付いたのです。

産地の指定を忘れていました、もちろんお金を出しつつ大慌てで「中国産ってあります?」と叫びました。

この時の私の心境は焦りもありましたがギリギリで思い出してよかったと安堵する部分が多かったです、これでマレーシアの呪いから解放される…と。

しかし在庫を確認してきた店員の放った一言が私をどん底に叩き落しました。

「すいません、うちの店舗にはマレーシア産しかありませんでした」

二秒ほど思考が停止しました、すでに返金を終え交換保証は入っていません。

苦笑いとともにつくもたんファイルを受け取り私は帰路に付きました。

結果、OC耐性は見事に据え置き。

私は一時間ほどしか使用していないにもかかわらずこの石を売り飛ばして(というかすでに売った)もう一度Ryzenを買いなおすことを決断しました…。

 

よってあまり写真は残っていないのです、石自体が悪いわけではないので無駄な出費をした私を笑いつつ安心してこのCPUをお買い求めください。

蛇足に付き合ってくれた方ありがとうございます、すいません。